振動刺激の効果

リハシード福岡の樋口です。

脳梗塞片麻痺を改善する川平法の訪問リハビリをしています。

川平法は、大脳皮質から脊髄前角細胞までの神経路の再建と強化を図りますが、ウォーミングアップとして麻痺した筋の状態を整えます。その一つが振動刺激です。

痙縮は麻痺改善の阻害因子になります。振動刺激は痙縮筋の神経路の興奮を抑制し拮抗筋の神経路の興奮を高めてくれます。

振動刺激痙縮抑制法

名前は難しいですが、電動マッサージ器を使用した痙縮抑制方法です。

痙縮筋を伸長しながら直接振動刺激を与えます。

前腕への振動刺激

最初は被刺激筋に緊張性振動反射による強い筋収縮が出現しますが、刺激続けると痙縮が減弱してきます。

5分間の振動刺激(振動周波数90Hz)後、30分以上の一定時間抑制する報告があることから、抑制持続時間は30分を目安にしています。

振動刺激後に川平法を行いますが、普段使いでも一時的にはなりますが、この方法を用いることで手足が少しでも楽に動かしやすくなるかもしれません。

私の訪問リハビリではハンディタイプの振動刺激を用いていますが、全身振動刺激(Whole Body Vibration)が脳卒中片麻痺痙縮へ効果があるという報告もあります。

アメリカの脳卒中治療ガイドラインでは痙縮を抑制する方法として推奨されています。

感覚入力目的の振動刺激

感覚障害も動作の再獲得の阻害因子になります。

感覚障害を合併した手掌面に振動刺激を与えることで上肢の随意性か改善した報告や歩行周期に合わせて振動刺激を用いることで歩行速度が向上する報告があります。

感覚障害のアプローチのブログにも少し触れましたが、振動刺激を用いた感覚入力により痛みやしびれが軽減することも見られます。

振動刺激まとめ

方法

痙縮筋を伸長させてから、振動機器のヘッドの部分を痙縮部位に少し圧迫する程度に押し当てる

効果持続

30分程度を目安

禁忌

ペースメーカー等の体内埋め込み型電子機器を使用されている
刺激部位に創傷・瘢痕・発疹・潰瘍等の皮膚症状
高度の関節拘縮が生じている、骨粗しょう症で治療中
刺激部位周囲に金属や透析シャントなど体内に異物がある

振動刺激は数分の間で痙縮を和らげてくれるので、リハビリの施術にすぐにとりかかりやすく、身体を動かしやすくしてくれる方法です。

機器によって禁忌事項など記載されていますので、ご確認の上ご使用ください。

参考文献

川平和美 下堂薗恵 野間知一:片麻痺回復のための運動療法.医学書院、pp26-28
宮良広大ら:脳卒中片麻痺下肢痙縮への全身振動刺激直後における足背屈自動運動時の皮質活性化の変化:第53回理学療法学術大会

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