片麻痺の上肢動作と手指のリハビリ、その指標は?

脳卒中等の片麻痺の上肢動作と手指のリハビリを進めていく方法をご紹介します。それは、評価を定期的に行うということです。

病院で行うような評価をしても生活に変わりないのでは?という方もいるかもしれません。

評価をすると、動作が良くなっていることやこれから重点的にリハビリをすることなどがわかるようになります。

「発症して約1年半、廃用手で退院して補助手まで回復して日常過ごしていましたが、評価を受けて更に回復していたことに気付けた」

というAさん。現在の麻痺の状態を知ることができました。

「川平法リハビリを家族ができるようになった。最後のリハビリの日に療法士による評価を受けて今後のリハビリのアドバイスをもらった」

というBさんご家族。ご本人とご家族と現状と今後の方針について共有し、更なる回復のために役立ちました。

「以前できなかったオッケーのジェスチャーが人と話していて自然とできていたんだよ」

とCさん。こちらは評価を用いていないデイケアでの出来事です。

このように、評価は現在の身体を知り今後の回復に向けて再検討することに役立ちます。

麻痺の評価

上肢と手指の評価5選

今回は上肢と手指に特化した評価を5つご紹介します。

脳卒中上肢機能検査(MFT)

manual functional test(MFT)

脳血管障害の上肢と手指について基本的な運動動作と物品を使用した具体的課題を遂行する両側面から評価をします。

経過の把握や予後予測、治療プログラム立案に利用できる評価となります。

麻痺の程度は重度から中等度、軽度が対象です。

実施時間が概ね10分と維持期でも使用しやすい評価です。

簡易上肢機能検査(STEF)

simple test for evaluating hand function(STEF)

軽度から中等度の上肢と手指を評価するのに適しています。

物品を使用した課題遂行の的確さや円滑さ、速さを数値化します。

脳血管障害だけでなく、末梢神経障害や整形外科疾患の上肢評価も対象となります。

脳血管障害特有の動作パターンが評価の数値に反映されないため、検査者は頭頚部や体幹、肩甲胸郭関節、肩甲上腕関節などの代償動作を観察し記録します。

左反側空間無視を呈していると動作が遅延することもあります。

ARAT (action research arm test)

軽度から重度の麻痺の評価をするのに適しています。軽度麻痺に関しては一部天井効果を示すことがあります。

掴みや握り、つまみという物品を使用した動作を評価します。

各項目の結果や動作の質から生活での麻痺手使用を検討することができます。

実施時間が10分程度で臨床現場で使用しやすいです。

MAL (motor activity log)

麻痺手が日常生活を過ごすうえでの使用頻度や使いやすさを図るための検査です。

質問形式で行い数値化します。

発症前からの上肢の使用について質問し使用していなければ除外します。

評価する項目数が、14、26、28、30、45項目あります。

WMFT (Wolf motor function test)

Wolfらによって開発された脳卒中上肢麻痺に特化した検査です。

筋力評価の2項目、6つの関節運動と9つの物品操作項目から構成されています。

採点は遂行時間とFASを用いて75点満点で実施します。

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今回5つの上肢と手指に特化した評価方法を紹介しました。

上肢手指の麻痺の評価、麻痺肢の活動の評価、重症度、実技や質問形式など、それぞれの特徴がありました。

検査者は主に担当の療法士になります。

評価は現状の麻痺の状態を記録して回復する未来への指標になってくれます。

リハシード福岡では、定期的に評価を行い、家族へのリハビリ指導マンツーマンでの川平法リハビリでも大変効果を発揮しています。

麻痺の現状をお知りになりたい方、今後のリハビリメニューに悩んでいる方等ぜひ評価をお受けすることをお勧めします。

参考文献 

高見彰淑編集:セラピストのための脳卒中評価指標の解釈と活用.MEDICAL VIEW.2020

中村隆一 他:脳卒中上肢機能検査(MFT)検査の手引き.酒井医療株式会社.

竹林崇 編:行動変容を導く!上肢機能回復アプローチー脳卒中上肢麻痺に対する基本戦略.医学書院.2017

最後までお読みいただき、ありがとうございました。